サードプレイスの具体例10選:どんな場所が当てはまるか
カフェ・銭湯・書店・公園・コワーキングなど、中立性と居心地を備えた場所が該当する。
サードプレイスの定義は抽象的だが、具体例を見ればその本質が見えてくる。「家でも職場でもない、義務から解放された第三の居場所」——この条件を満たす場所は、私たちの日常に意外なほど多く存在している。
レイ・オルデンバーグが研究した1980年代アメリカのサードプレイスは、パブ・バーベーショップ・コーヒーショップなどだった。しかし時代と文化が変わっても、サードプレイスの条件を満たす場所は形を変えながら存在し続けている。以下に10種類の具体例を挙げ、それぞれがなぜサードプレイスとして機能するのかを解説する。
1. カフェ・スペシャルティコーヒーショップ
現代のサードプレイスの代表格。コーヒー一杯で長時間過ごせる空間設計、一人でも入りやすい雰囲気、Wi-Fi・電源完備——これらが揃うカフェは、最もアクセスしやすいサードプレイスだ。
特にスペシャルティコーヒーショップは、コーヒーの物語を通じた「ストーリーへの共感」(第4軸)が高く、リピーターになりやすい。東京・渋谷区を中心に、Third Place Japan(サードプレイスジャパン)が認証した店舗が複数存在する。
サードプレイスとして機能する理由:中立性・アクセス性・滞在時間の自由
2. 銭湯・サウナ
日本固有のサードプレイスとして、銭湯は長い歴史を持つ。湯船に入れば、社会的な立場・肩書き・服装という「鎧」が脱げる。社長も工員も、同じ湯に浸かるフラットな場所——これはオルデンバーグが定義した「中立性」そのものだ。
近年のサウナブームは、銭湯文化の現代版復興ともいえる。「整う」という感覚の追求、サウナ仲間との会話、非日常的な体験——これらはサードプレイスの核心条件と重なっている。
サードプレイスとして機能する理由:中立性(裸の平等)・非日常性・帰属感
3. 公共図書館
無料でアクセスできるサードプレイスとして、図書館は特別な位置を占める。入場料も消費も不要で、ただそこに居ることができる。これはサードプレイスの条件(アクセス性・中立性)を最も純粋に満たした空間だ。
近年の図書館は、静寂エリアと会話・コミュニティエリアを分けて設計するものが増えている。「話すも黙るも自由」というサードプレイスの会話条件を物理的に実現しようとしている。
サードプレイスとして機能する理由:無償アクセス・静寂・義務のなさ
4. 書店
本を買わなくても立ち読みが許される書店は、独特のサードプレイス性を持つ。本という「世界への入り口」が並ぶ空間は、知的好奇心を持つ人にとって居心地のよい場所だ。
特に大型書店の一角に設置されたカフェスペースや、本と一緒に過ごせる時間を設計した独立系書店は、滞在型のサードプレイスとして機能する。
サードプレイスとして機能する理由:目的の自由度・知的刺激・一人でも自然な空間
5. 公園・緑地
オルデンバーグが研究したアメリカのサードプレイスとは異なるが、公園は日本においても重要なサードプレイスだ。無償で、誰でもアクセスでき、義務なく過ごせる。散歩する人、ベンチで本を読む人、子どもと遊ぶ人、犬を連れた人——多様な人々が同じ場所を共有する。
天候に左右されるという弱点はあるが、「なんとなく行ける場所」としての公園の価値は高い。
サードプレイスとして機能する理由:無償・開放性・生活動線上の存在
6. コワーキングスペース
仕事をするための場所だが、「職場でもなく家でもない」という条件を満たすため、サードプレイスの性格を持つ。特に月額会員制で気軽に使えるコワーキングは、「第三の仕事場」として定着しつつある。
他者の存在(他のメンバーが働いている)が集中を生む「環境の力」も、サードプレイスに通じるものだ。
サードプレイスとして機能する理由:家でも職場でもない中間領域・同じ時間を共有する他者の存在
7. バー・クラフトカクテルバー
夜のサードプレイスとして、バーは独自の地位を持つ。カウンター越しのバーテンダーとの会話、常連同士の緩やかなつながり——これはオルデンバーグが研究したアメリカのバーの構造そのものだ。
スペシャルティコーヒーと同様、クラフトカクテルの哲学を持つバーは、「ストーリーへの共感」が高く、リピーターを生みやすい。
サードプレイスとして機能する理由:カウンター文化・緩やかな社交・非義務的な時間
8. 神社・寺院
日本固有のサードプレイスとして、神社や寺院は独自の役割を果たしてきた。参拝は義務ではなく、誰でも自由に境内に入れる。喧騒から切り離された空間、緑と静けさ——これらは「非日常性」と「中立性」を高水準で提供する。
縁日・祭り・朝市など、人が自然に集まるイベントを持つ神社・寺院は、コミュニティとしてのサードプレイス機能も備えている。
サードプレイスとして機能する理由:中立的な聖域・無償アクセス・日常からの切り離し
9. 銭湯・コインランドリー(日常の拠点)
古い下町や住宅街の一角にある小さな場所も、サードプレイスになりうる。コインランドリーで洗濯物が乾くのを待つあいだ、隣の人と言葉を交わす。銭湯の脱衣所で常連同士が話す——こうした「ついでに生まれるつながり」が、生活に根差したサードプレイスを形成する。
サードプレイスとして機能する理由:生活動線上の存在・気軽さ・偶発的なつながり
10. ホテルラウンジ・旅館の共用空間
旅の途中で訪れるホテルのラウンジや旅館のロビーも、特定の条件下でサードプレイスになる。特に、地元の人も立ち寄れるカフェを兼ねたホテルラウンジは、旅行者と地域住民が交わる希少な空間だ。
Third Place Japanが評価するホテルラウンジは、「宿泊客専用」ではなく「街に開かれた場所」としての性格を持つものを優先している。
サードプレイスとして機能する理由:非日常性・開放的な設計・多様な人の交差
まとめ:サードプレイスはすでに身近にある
10の例を見ると、サードプレイスは「特別な場所」ではなく、日常のなかに存在していることがわかる。大切なのは、その場所が「義務なく、役割なく、ただ居ていい」という感覚を提供しているかどうかだ。
Third Place Japan(サードプレイスジャパン)は、そうした場所を発見し、7軸基準で評価し、記録することを使命としている。
サードプレイスの定義と条件を深く理解したい方は「サードプレイスとは何か?定義・特徴・具体例の完全ガイド」を、評価の7軸については「サードプレイスの8つの条件:オルデンバーグの定義を読む」をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. サードプレイスの具体例にはどんな場所がありますか?
カフェ・銭湯・サウナ・図書館・書店・公園・コワーキングスペース・バー・神社・ホテルラウンジなどが代表的です。共通するのは「家でも職場でもなく、義務なく自由に過ごせる場所」という条件です。
Q. 自分の「サードプレイス」を見つけるにはどうすればよいですか?
「なんとなく行きたいと思える場所」「役割や義務を忘れられる場所」「また来ようと思える場所」の3つが自然に当てはまる場所が、あなたのサードプレイスです。Third Place Japanの認証店舗一覧も参考にしてください。
Q. 家や職場もサードプレイスになれますか?
サードプレイスの定義では「家でも職場でもない第三の場所」とされています。ただし、在宅勤務が一般化した現在、「家の中でもサードプレイス的な空間を設計する」という議論もあります。本来の定義では、物理的に別の場所であることが前提です。